「祈り・誓い・願い」から文身(いれずみ)を身体に施す人をインターネットにより募集し、その「言葉」が「一文字の書」となって刻み込まれた身体と、そこでの過程を写し出す。ひとりひとりがなぜその文字に至ったのか、身体に刻むことへの思いを短く語るなかに、生の軌跡や不条理、それを超えゆこうとする意志が浮かび上がる。
「一文字の書」は精神と肉体を繋ぎ、自らの存在を切に問いかける。
書家であり、写真家である桐生眞輔が、書と美術との関わりを考察し、その境界を越えて創出された作品。

「いれずみ」は、宗教や文化に応じて多義性を持つ。刑罰としての負の文脈と、願いや神聖化の意味合いで行われる正の文脈とが日本においては存在した。行為する人と見る人の間の意識や価値のズレ。その境界線を扱うことで、人の視点や認識の在り方を提示する作品でもある。

文身

それは感情、思考を永く心に留めておく行為であり、
そのための徴しとして、肉体に文字を刻む。

それを見ては心を憂し、
それを見ては心を興し、
それを見ては心と対し、
それを見ては心を奮わし、
それを見ては心の静に至る。

(巻頭文より)