「お日様の下を生きる事ができれば、すべてが好日。
今日もいい日だね、ふくまる」

12年前、著者の伊原美代子さんは、みさおおばあちゃんを撮影しはじめました。
おばあちゃんの生きた証を残したい、という思いだったそうです。
そんなある日、家の納屋で、おばあちゃんは一匹の子猫と出会いました。

「ふくまる」という名前には「福の神様が来て、すべてが丸く治まるように」というおばあちゃんの願いが込められています。
87歳になった今も、毎日畑へでかけるおばあちゃん。
そして、それにお伴するふくまる。
青々とした田んぼ、咲き誇る花々、丸々と実る果実……。
色鮮やかに、豊かな表情をみせる風景のなか暮らす、一人と一匹の姿が写真で綴られていきます。
気づけばおばあちゃんとふくまるが出会って8年。
すっかり耳の遠くなってしまったおばあちゃんと生まれつき耳が不自由なふくまるは、いつも見つめ合い、お互いを感じ合っています。

青い空に白い雲がプカプカと浮かぶ頃、
おばあちゃんとふくまるは今日も畑へ出かけます。

日常の尊さ、美しさ、かけがえのなさが詰まった一冊です。

 

伊原美代子(いはら・みよこ)

1981年生まれ。
2002年日本写真芸術専門学校報道科卒業後、樋口健二氏に師事。
千葉で活動する海女たちへの取材を続けている。
第一回「名取洋之助写真賞」奨励賞、日本ドキュメンタリー写真ユースコンテスト優秀賞、上野彦馬賞・日本写真芸術学会奨励賞を受賞している。
清里フォトアートミュージアムに作品が所蔵されている。
2011年1月号より「DAYS JAPAN」で「おばあちゃんと猫」を連載中。
本書がデビュー作となる。