アメリカ・ネブラスカ州出身で、2004年より東京に住む写真家ジョン・サイパルの『Tokyo Camera Style』(2015年、Thames & Hudson, London) 及び『随写』(2017年、禅フォトギャラリー)に続く待望の三作目の写真集。

「私が経験し理解している東京は、江戸時代から続く伝統的な下町の中心部から始まって、巣穴状に繋がった路地の集まりがより大きな道路や鉄道と交差しながら外側に広がり、そのところどころに解体や建設の工事現場が点在している。北端と東端に沿って流れる荒川に抱かれた東京は、江戸の郊外にあたる新宿の駅を過ぎて西に伸びていく。この本に掲載されている写真のほとんどはこの地域で撮影されたものだ。
この本の日本語タイトル「銀園」は、銀と園(公園/楽園)の文字で構成されている。これはこの都市に対する私の気持ちを表していると同時に、「銀塩」の同音異義語でもある。暗室は別の種類の楽園—柔らかく輝く赤—だ。ここでは時間が静止し、暗闇の中でピントルーペを通してフィルムの粒子をのぞき込むと、最初にシャッターを切ることを余儀なくされた瞬間、人々、感情に再び出会うことができる。銀と化学反応を通じて私はそれらをプリントとして世界に蘇らせる。銀塩写真がこのように美しいメディアであるからこそ、写真を理解する礎となり、私は写真に永遠に魅了されるのだ。」
― ジョン・サイパル