「この写真集は、ぼくから亡き中平卓馬に宛てた写真による私信のつもりである。湘南の景色に、かつての中平卓馬とぼくとの日々の記憶が甦ってくる。現在(いま)の実景と、在りし日の風景とが心のなかでオーバーラップされて、さらなるもう一つの時間が感応されてくるのだ。中平卓馬へ向けて送るこれら数々のイメージは、記憶という名の一冊の実質となって、残されていってほしい」(森山大道)。逗子、鎌倉、葉山、湘南の日常風景で綴る、デジタルカメラによる最新作品集。「卓馬さん、やっぱり写真っていいよな」。

森山大道(もりやま・だいどう)1938年生。月曜社での近年の出版物に、『森山大道写真集成シリーズ 1~5』(2018~2021年)、『K』(2017年)、『絶対平面都市』(鈴木一誌との共著、2016年)、『Osaka』(2016年)、『犬と網タイツ』(2015年)、『ニュー新宿』(2014年)、『通過者の視線』(2014年)など。