TBS系列「クレイジージャーニー」で大反響!

新たな時代はいつも、廃墟からはじまる。
世界の名だたる廃墟を一望する、本邦初の網羅的写真集。
監修・解説=佐藤健寿(『奇界遺産』)
ブックデザイン=川名 潤

......こうした時代背景のもとで生まれた本書には、世界の名だたる廃墟が収められている。
廃墟が生じた理由はさまざまだが、大きく4つの種類に大別してみたい。1つめは戦災による廃墟。20世紀に起きた2つの世界大戦は言うまでもなく、その後に起きた冷戦構造もまた、米ソの核競争を引き起こし、世界各地に奇妙な建造物を生んだ。そして2つめはエネルギーと産業を巡る廃墟。産業革命以降、本格化した埋蔵資源の採掘や、それを利用する発電施設は、人類が必要とするエネルギーの増大に比例するように、巨大な廃墟を生みだした。そして3つめは都市と経済を巡る廃墟。高度に情報化し、グローバル化された金融システムのもとでは、もはや世界から孤立した楽園が存在することはできない。あらゆる金の流れがあらゆる街に影響し、昨日まで栄えていた街が、一夜にして荒廃することすら、現代においてはありえない話ではないのだ。そして最後は、自然災害による廃墟。人類はいつの時代も自然の猛威から逃れることはできない。あらゆる人災を避けようとも最後は気まぐれな天意の前に、諸行無常の鐘の音を聞くのだ。――「監修者まえがき」より

監修・解説・本文
佐藤健寿 (さとう・けんじ)
武蔵野美術大学卒。自然物・人工物・タブー・奇習など世界各地の"奇妙なもの"を対象に、博物学的・美学的視点から撮影・取材・執筆を行っている。世界80カ国以上を巡って撮影された写真集『奇界遺産』(エクスナレッジ)は異例のベストセラーに。他の著作に『奇界遺産2』(エクスナレッジ)、『X51.ORG THE ODYSSEY』(講談社)など。世界の奇妙な現象を調査するウェブサイトX51.ORG( http://x51.org/ )主宰者としても知られる。

監修者まえがき――忘却された過去と廃棄された未来の狭間で
・ワンダーランド(中国)――トウモロコシ畑の中にそびえる、不思議の国のシンデレラ城
・レッド・サンズ要塞(イギリス)――謎の独立国家が領土を主張する、無人のトーチカ群
・コールマンスコップ(ナミビア)――ダイヤの砂時計に埋もれた、忘れられた街
・スコット隊の小屋(南極)――南極の雪原から発掘された、時を止めた部屋
・ブルガリア共産党ビル(ブルガリア)――山の上にひっそりと佇む、忘却されぬ過去
・第309航空整備再生場(アメリカ)――アリゾナの大地に眠る、空飛ぶ鋼鉄の塊
・端島(日本)――人々の歴史を護り続けた、絶海に浮かぶ軍艦
・サトーン・ユニーク・タワー(タイ)――最高の立地に立ちすくむ幽霊マンション
・セントラリア(アメリカ)――地熱70度オーバー、50年以上、燃え続けている街
・ヴァローシャ(キプロス)――有刺鉄線で覆われた世界有数のリゾート・ビーチ
・ジーゲル駅(ベルギー)――ずさんな都市計画で生まれた線路なき地下鉄駅
・ボディ(アメリカ)――ワイルドウエストの果て、兵どもの夢の跡
・オラドゥール=シュル=グラヌ(フランス)――第二次世界大戦の悪夢。一夜にして人間が消えた村
・パワープラント IM(ベルギー)――幾何学的構造に満たされた、廃墟マニアの夢
・ベーリッツ・サナトリウム(ドイツ)2つの大戦で軍人を収容した、「病院」廃墟の最高峰
・バラクラヴァ原子力潜水艦基地(ウクライナ)――世界が滅びても存続する黒海のシェルター
・大久野島(日本)――廃墟の中でウサギが遊ぶ、「地図から消された島」の現在
・ディスコ・インフェルノ(オーストリア)――壊れた壁から差し込む光を乱反射するミラー・ボール
・トイフェルスベルク(ドイツ)――ベルリンを見渡す、瓦礫の上の「悪魔の山」
・バーントン採石場の秘密地下壕(イギリス)――採石場にオブラートされた、英国の超機密施設
・プリピャチ(ウクライナ)――人類史上最大のディストピアと化した、科学のユートピア
・柳京ホテル(北朝鮮)――ー世界最高のビルを目指した、北朝鮮のバベル
・フェルクリンゲン製鉄所(ドイツ)――重厚長大、ドイツ鉄鋼業を象徴する鋼鉄製のカテドラル
・クラーコ(イタリア)――2000年以上の歴史を持つ幻想的な丘の上の廃墟
・ブラッシュ・パーク(アメリカ)――優美な建築が立ち並ぶ高級ゴーストタウン
・医師の家(ドイツ)――主の消えた家に横たわる、失われた未来