「私は、整然とした綺麗で瀟洒な街よりも、どこか雑然としていて、不均一で猥雑で、活気と喧騒をあわせ持つ、カオス的な街が好きである。私にとって、このような街のほうが何となく人間味が感じられ、自ずからそちらのほうへ足が向いてしまうのである。タイ王国の首都、バンコクもその一つである。」

ページをめくるたび、この街に魅力を感じた作家の目に同化していく。バンコクの持つエネルギーと営みが、パワフルに、どこか優しく伝わってくる。