$55.28
- Hardcover
- 400 pages
- 110 x 154 mm
- Edition of 700 copies
- ISBN 9784991385803
- Japanese, English
- 2024
今回の写真を撮影するきっかけは、コロナ禍の自粛生活の影響で父が弱ってしまったことでした。僕が写真を始めた18歳の時に父が与えてくれたカメラを使い、2023年の1月1日から365日写真をたくさん撮りました。
目的やテーマを持って、意思を持って世界を切り取るのが僕にとっての「写真」でしたが、いつの間にか意味もなく古いカメラの窓の中を流れる風景が「写真」になっていきました。出会う人、通り過ぎる風景、道端の偶然、記憶の中の昔話と紐づくできごと、それらが等価に存在し、毎日を形作っていることに気づきました。起こる出来事に身を任せ、意味を持たせず、あたかも他人(父のなのか、カメラなのか)の目を借りるように「写真」を撮るということがとても楽しい時間でした。
この写真の撮影はRollのキュレーター藤木洋介さんの「公文さんのいつもと違う面が見たい。試しにその父さんの古いカメラで撮ってみてください」という言葉から始まり、二人三脚で続けてきました。展示に合わせて出版される写真集はデザイナーの宮添浩司さんが一冊の小説のように編みあげてくださいました。