津波を受けつつも佇む木の姿に魅入られる

『BLAST』「都市のマケット」といった都市にまつわる写真で世界的に知られる写真家畠山直哉氏。2011年3月、東日本大震災の津波で故郷陸前高田の生家を失い、それ以来、惨状の姿から、山が崩され盛り土が施され、防潮堤が築かれていく時間の推移を写真に収めてきた彼が、大地に1本残った、半分は死に、半分は生きているオニグルミの姿に導かれ、故郷を出て、福島、宮城、岩手と木を撮影した写真集。震災から復興の道筋のなか、木々の姿はなにを語るのか。

津波で母を失って以来、故郷陸前高田の変わりゆくさまを撮影しながら、行き場のない思いに捕らわれていたひとりの写真家が、津波を受けつつも海岸沿いに残る木とレンズを通して出会い、東北三県の木々との邂逅の軌跡を一冊にまとめた写真集。かつて、畠山は、津波後の故郷を撮る理由を「誰かを超えた何者かに、この出来事全体を報告したくて写真を撮っている」と発言していたが、なにもかも消えた大地に残った木の姿から、私たちは何を感じ取れることが出るのだろうか。

ぽつねんと残った木の姿に耳を澄まし、感じ入ることに思いを寄せ、明日の私たちの生き方を問い直す写真集でもあります。

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