$57.99
- Leporello-style bookbinding
- Hardcover
- Slipcase
- 48 pages
- 40 images
- 471 x 201 x 14 mm
- Limited edition of 500
- ISBN 9784908851087
- Japanese, English, Chinese
- 2022
水はあらゆる生命の源である。
また、都市が成り立ち、発展するためには、いつの時代も、水害を防いだり、水路を整備したりする治水は重要な課題だったと考える。河川は人類文明を育て、その一方で、人類は河川の有り様を度々構築し直してきた。
荒川は、過去には何度も氾濫を起こし、人々の生活に大きな影響を及ぼしてきた。また、荒川の支流には、東京の“母なる川”と言われる隅田川もあり、荒川を下っていくことで、東京という都市の、様々な側面が見えてくると考えた。
これが、荒川を被写体として選んだ理由である。
そして、荒川を下ることで見えてきたのは、都市の一つの側面だけではなかった。自然に対する人間の力も、まざまざと見せつけられた。荒川が、現在のような流域にあるのは、人間の力の介入があったからこそ、ではないだろうか。
川にはいろんな水が注いでいる。工業排水や生活排水、そして雨水などだ。人々は、川で泳いだり、川辺で釣りをしたり、あるいは、川の上を船で走る。また、水面をゴミが漂い、死んだ魚が川辺に打ち捨てられている光景も見た。
川に注いだ水の成分の違いにより、川の両岸の人類社会や自然環境は異なる。川はそれらの全てを知っている。また、川はすべてを受け入れ、流れ続けている。
これが『川はすべて知っている』というタイトルを付けた理由だ。
― 宛 超凡