$29.25
- 278 x 220 mm
- 120 pages
- Softcover
- 2018
カメラを手に歳を重ねるにつれて、ぼくは自身が写しつづけてきた数多くのイメージのルーツが、結局昭和20年代の少年期、つまり終戦後の数年間にぼくが見、そして体感した数々の記憶にもとずいていることに気付かされる。 戦後のある時期、国内あちこちの町々を転々とした頃の記憶が、ぼくの意識の底に降り積り、後年、街頭スナップカメラマンとして写すさまざまなイメージのなかへと、つと指先きを伝わって呼応し反映されているような気がする。ようするに、ぼくが撮る写真の大多数には、そのとき写す現場で意識するしないにかかわらず、一瞬タイムトンネルを通してたった現在(いま)と交感し合っていると思えるのだ。
——森山大道 後書きより