ソー・ソウエンのこれまでの活動を横断的にまとめた、初作品集『Handle with Care』を刊行します。

1995年生まれのソー・ソウエンは、私たちの生にまつわる事象を身体との関わり合いを通して考察する絵画、インスタレーションやパフォーマンスを国内外で発表しています。「できることなら、わたしたちの身体を、何かを傷つけるためではなくて、大切なものを壊さないために動かす方法が知りたい」。そういう思いのもと、ソウエンは近年勢力的に生命の象徴である生の卵を身体のくぼみに挟み、落とさないように動くパフォーマンスを行ってきました。パフォーマンスには、「生命の象徴である生の卵を身体のくぼみに挟み、落とさないように動くこと」というルールのもと、パフォーマー同士が「卵」を介しながら、自己と他者の繊細な関係性、大切なものを壊さないための身体の在り方を共同で模索する《The Egg》。そして単独で壁やガラス、植物などあらゆる人や物との間に卵を挟み、落とさないように過ごし続ける《Eggsercise》などがあります。

「生きていくごとに硬くなった〈わたし〉という殻を解きほぐしたい。(中略)卵に拘束されながら、小さな隔たりの中で動き合うとき、わたしたちは、大切なものを量り間違うことなく受け止めることができるだろうか」。 形の残らない刹那的なパフォーマンスに込めた思いを、本という形で詩的に表現するために、本書ではパフォーマンスの写真や動画のスチルをはじめ、インスタレーション、絵画作品やそれにまつわるメモやドローイングなどの作品同士が、緩やかにつながり呼応するように構成されています。イメージと言葉に導かれながら、根源的な問いに身体性を通して模索するソウエンの思考を辿る一冊となります。

ソー・ソウエン
1995年、福岡県北九州市生まれ。2019年、京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース卒業。私たちの生にまつわる事象を身体との関わり合いを通して考察する絵画、インスタレーションやパフォーマンスを国内外にて発表。コロナ禍に始まったオランダ在住のサラ・ミリオとの共同プロジェクトや、銀座メゾンエルメス フォーラムにて内藤アガーテの作品を使用したパフォーマンスを実施するなど、独自の活動を展開している。主な展覧会に「第17回福岡アジア美術館アーティスト・イン・レジデンス成果展 境界を縁取る」 福岡アジア美術館、「絶えず壊れてきたし、壊れ続けている(壊れてはいない)」rin art association (群馬)、「京都精華大学55周年記念展 FATHOM-塩田千春、金沢寿美、ソー・ソウエン」京都精華大学ギャラリーTerra-S(京都)など多数。2022年福岡アジア美術館レジデンスプログラムに招聘。 2024年、インスタレーション作品《Bellybutton and Breathing—お臍と呼吸》が福岡市美術館に収蔵された。

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