渋谷の街とネズミを通じて、
ぼくはコロナ禍を身体で実感し、
その変化を観察し続けてきたーー石川直樹

COVID 19、緊急事態宣言、東京オリンピック、再開発…
2020-2021年にかけて、非日常の路上を舞台に パンデミック下を生きる人々と跳梁するネズミたちを
這って追って捉えた「異色の写真集」!

寄稿:高橋源一郎・伊藤俊治

■ カミュ『ペスト』に着想を得て始まった撮影
2020年4月、緊急事態宣言が発令される中、渋谷でネズミ大量発生のニュースを耳にした石川さんは、1匹のネズミの死体がパンデミックの始まりを知らせたカミュの名作『ペスト』に着想を得て、渋谷の街とネズミの撮影を始めました。

■ 都市の中でむくむくと野生が目覚めている
タピオカドリンクをストローで飲むネズミ、ストロングゼロで千鳥足になるネズミ、ネズミを殺すハト、路上飲みで倒れた人々など、パンデミック・東京五輪下の渋谷の生のあり方を、カメラと視点を変えながら重層的に捉えた記録!

 

石川直樹
1977年東京生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。 2008年 『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞、2011年『CORONA』(青土社)により土門拳賞、2020年『EVEREST』(CCCメディアハウス)、『まれびと』(小学館)により日本写真協会賞作家賞を受賞した。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)、『地上に星座をつくる』(新潮社)ほか多数。