已售完,無法購買
- 210 × 297 mm
- 96 pages
- 48 pages
- ISBN 978-4-909442-00-0
田附の代表作『DECOTORA』や『東北』といった作品では、それぞれのコミュニティに入り、被写体となる人々や土地との関係性を築きながら撮影をしてき ました。その被写体たちと真正面から向き合った作品は多くの賞賛を得て、『東北』では第37回木村伊兵衛写真賞を受賞しました。
『魚人』は写真家・田附勝にとって6冊目となる写真集となります。
本作『魚人』では田附が2014年5月から約1年間かけて撮影してきた青森県八戸の沿岸部の人々やその暮らしを収載しています。
東北地方を旅しながら撮影を続けてきた田附に八戸市から撮影依頼が届き、それをきっかけに今回のプロジェクトが始まりました。毎月1週間ほど現地に滞在し、 約1年間かけて八戸港や種差海岸といった浜の人たちの暮らしに密に寄り添い、海や魚に向き合う人たちを撮影してきました。
そこでの暮らしは海だけではありません。山も畑もあり、その言葉通り、沿岸部の人たちの大自然のなかでの暮らしがありました。
漁に出てはその魚を食し、隣人たちと分け合う。海と向き合いながらの生活。その太古から続く営みを見てきた田附は、彼らのことを「魚人」だと確信しました。
また、撮影を続けてきた田附にあるニュースが届きました。
2011 年3月11日の震災の津波に見舞われた八戸市の大久喜漁港にある神社の鳥居の一部の笠木が、太平洋をはさんだ対岸にあるアメリカのオレゴン州にたどり着き、ポートランド で保管をされているというものでした。田附はアメリカに向かい、その笠木や現地の漁港の人々の暮らしも撮影。そこでの暮らしもまた八戸と同じく海と寄り 添ったものであるこ とを田附は知ります。遠いと感じていた対岸も近くにあるものだと田附は気付いたのでした。
人の手では抑えることのできない大自然とともにはるか昔から暮らしを営んできた人たち。魚、人、万物の命が交差する土地。「魚人」はそこにある命や営みに寄り添い、被写体たちと真正面から向き合ってきた田附勝の新しい境地を見せた待望のシリーズです。
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本作は2冊組となります。田附は本シリーズのために2種類のカメラを使いました。被写体にも接近でき、素早く撮影に挑める35mm。そして三脚を据えて撮影する大判フォーマットの6×9。同じ場所、同じ期間、同じ被写体でありながら、アプローチの違うカメラでもってふたつの「視点」から八戸という土地、そしてそこに根ざす人々の営みを写し出しました。1冊1冊が違うシリーズではなく、2冊でもってひとつの「魚人」というシリーズが形になりました。