私と秩父とのかかわりは、1973年写真学校への入学で始まった。2年後の卒業制作のために選んだテーマが生まれ故郷の秩父だった。

1948年に生まれた私は、小学校4年になった春に名古屋へ転校するまでの約十年間多感な時期をその地で過ごし、その後成人するまで行くこともなかった。

十数年ぶりに訪れた秩父は、故郷でありながらどことなくよそよそしく、あまり居心地のいいものではなかった。そこに半分よそ者としての自分を意識しつつ撮影を続けているうちに、秩父通いはすでに150回をこえた。

「風景」「祭り日」は、その間の1988年から2015年にかけて撮影したものである。「闇の伝説一秩父夜祭1976/77」は、1978年に二人展「闇の伝説一秩父夜祭り」と題して秩父市矢尾百貨店で開催した作品である。撮影者は田中昭史および写真学校同級生の新 晴雄で、78年当時の構成を基に新たに組み直し、二人の写真を分けることなくここに掲載している。

いつしか還暦も過ぎ、意識のずれを感じながらも結局身体が動けなくなるまで通い続けることになることだろう。