一人の女性がキッチンで玉ネギの皮をむく写真がひたすら続く――。あまりに日常的な、それでいてこの上なく非日常性を孕む光景。収録されているのは、フィルム1本分全35カット。1枚の写真にその人物を象徴する瞬間がとらえれているのがポートレイト写真だとすれば、『Holy Onion』は、既成のポートレイト写真への問いかけであるのかもしれない。「1枚で見せるポートレイトってことじゃなくて、35枚全部で一つのポートレイト。今回たまたま35枚でしたが、5枚でも10枚でも1枚じゃないポートレイトに最近興味がある」と題府は語る。『Still Life』、『Hypermarché – Novembre(大型スーパー、11月)』(ミシェル・ウェルベックとの共著)に続く待望の新刊写真集。