伝説の写真家中平卓馬の軌跡を余すところなく収録

写真は創造ではなく、記憶でもなく、ドキュメントであると、私は考える。撮影行為とは、抽象的なことではなく、常に具体的だ。単純なことを観念化して難しいものにしようとするのではなく、カメラという媒体を通して私が出会った現実がここにある。──中平卓馬

中平卓馬(1938年生まれ)は「アレ・ブレ・ボケ」と呼ばれた初期の作品を自ら詩的だと否定し、「図鑑」のような即物的な写真を目指す最中の1977年に、逗子で倒れ記憶の一部を失いました。 しかし、横浜に転居して翌年より撮影を再開、徐々に復活を果たし、現在も日々撮影行為を続けています。横浜は、写真家としての復帰の「原点」 であり、現在も日常的に最も多く撮影している場所であることから「原点復帰─横浜」は作家によって命名されました。

本書は、カラーの最新作に加えて、代表的な写真集『来たるべき言葉のために』の時代の作品、1971年にパリで撮影された作品ほか、中平が写真家として活動を開始した1960年代中半から、2003年の最新作までの110点の作品を126頁にわたり収録。 写真というメディアについて常に真摯に思考し、過激に実践してきた写真家の魅力が余すところなく集約されています。伝説の写真家・中平卓馬の全貌を知る貴重な一冊です。