Sold Out
- Hardcover
- 223 × 295 mm
- 58 pages
- Jun 2017
Used book / Rare / Very good condition
中平卓馬、最後の新作写真集
戦後日本において、最もラディカルな写真実践を貫いた写真家、中平卓馬(1938-2015)。1960年代より制作と批評を両輪とする活動を展開し、日本の現代写真に与えた影響の大きさは類を見ません。1977年、病により記憶の多くを失うも、沖縄での撮影をきっかけに復帰を果たし、晩年まで尖鋭的な作品を発表し続けました。
本作は、最晩年の4度にわたる沖縄行で撮影された写真をもとに構成されています。中平にとって沖縄は、「日本」という中央主権的国家の歴史と現在を穿つトポスであり、記憶喪失後に写真家としてカムバックを果たすきっかけとなった土地でもありました。2002年の写真集『hysteric Six Nakahira Takuma』(ヒステリックグラマー)や2003年の「中平卓馬展 原点復帰−横浜」(横浜美術館)によって広く知られることとなった、「カラー・ポジフィルムで、事物を透明な把握のもと縦構図で写し取る」後期のスタイルは、他ならず沖縄との出会いによって獲得されたものです。
中平本人が携わった写真集という意味では、本作『沖縄』は最後の新作写真集となります。記憶喪失を抱えながらも自らの生と格闘するなか生み出された中平の写真は、現実よりも常に鮮やかで、日常の微睡んだ意識を起き上がらせるかのような輝きを放ち続けています。