アイデア No.374

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29.6 x 22.4 x 1.3 cm

よりみち~伊丹十三と13の映画作品

伊丹十三は映画監督としてのみならず,俳優,エッセイ,デザイン,料理など多方面にわたる才能と活動で知られている。本特集は,そんな伊丹の活動に関心を抱いたイギリスのデザイン集団アバケ(Åbäke)の提案を発端としたものだ。

アバケはアーティストとの協働や,ワークショップ,レーベル運営など,受注仕事ではない自主的なプロジェクトを展開し,その方法は世界中のデザイナーに影響を与えている。彼らの活動はそれがデザインかアートかという議論を越えて,グラフィックデザインという方法をさまざまな領域に応用,転用,流用することにおいて一貫している。ひとりの人が一つの専門や職能のもとに生きていくのが常識とは言えなくなった現在,そうした状況への批評的実践を展開するアバケにとって,生前の伊丹十三はまさに彼らの活動の先を行く人であった。

そこで,本特集ではある領域における手法・知識・経験を他の領域に転換する伊丹の「翻訳」的な手法をおうべく,アバケとともに伊丹映画のポスターや関連制作物をすべてデザインしてきた佐村憲一に伊丹十三との協働について聞き,二人の交渉のなかに伊丹のデザイン的思考を捉えることにした。また「翻訳」のいち実践として,世界各国のデザイナーに伊丹映画のポスターを制作してもらった。本特集によって伊丹十三ははたしてどう理解,翻訳されるのだろうか。多言語的な世界において,情報の翻訳し,コミュニケーションの回路として働くデザインのあり方について考えていく。

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