「“己”の現実に対応する者は
“私”しかおらず
己の現実に対して
最善の写真行為を行う者は
私である

現実に縛られながら
現実を解いていく
百年生きても意味はない

己は霊と肉
私は写真に残存する

人は倫理の中で食べている
写真は時に禁忌を食べる

愛がそれを欲する
愛には倫理がない

愛に支配された時
写真は毒となる」

写真に命を懸けるのは勝手です。
誰が選んだ道でもない、自分で選んだ道です。

常に"私"と"己"、すなわち客観的"現実"と主観的"現実"の間で心身を捧げ、目の前の現実と同化し、目に見えない現実を形にすることが私の写真です。

現実は哲学です。
私は、その哲学を信じています。

私の哲学が現世、後世と誰かの心に触れ、伴走者になれたなら本望です。

私は写真でどこまで深く潜れるかに懸けているのです。

理想を追うことが作家の仕事です。

― 殿村任香