散歩途中の近所の聖地
体内メトロノームのリズムが整っていく…

世田谷八幡宮の境内奥、わずか50㎝を土を盛っただけの素朴な土俵。子どもたちは相撲ごっこで遊び、カップルは何かの決意をし、通りがかりの人々は頭を下げる。静かな光をたたえながら永遠の「円」を描く「近所の聖地」を著者は慈しみ、身体の振り子に従うように、右を撮り、左を撮るを繰り返した2年の日々。

右を撮り、左を撮る、この途方もなく単純な行為=運動によって、
第3の写真を限りなく薄く美しく磨き上げていく、
本書の技法のみが可能にした偶然がここにある。 ——上野修(写真評論家)

伊藤之一は1966年愛知県生まれ。1991年日本大学芸術学部写真学科卒後、博報堂フォトクリエイティブ(現、博報堂プロダクツ)に入社。2000年伊藤写真事務所を設立。広告撮影と平行した自主制作は、展覧会と写真集刊行の両輪で積極的に展開中。2003年東京湾の水平線を繊細な色合いで撮影した「入り口」(銀座ニコンサロン、写真集WALL出版)、2007年「電車カメラ」(WALL)、2008年高岡一弥・高橋睦郎共著「百人一首」(ピエブックス) 、2009年「雨が、アスファルト」(WALL)、2016年「テツオ」(日本カメラ社)、2016年「under glass」(ITO PHOTO OFFICE)など。

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