1977年生まれの写真家・安森信が、同じ年に生まれた「同級生」100名を撮影した。
僧侶、公務員、漁師、保育士、フルート奏者、飲食業、若女将......
様々な職業の同級生が、それぞれの仕事の現場でカメラと向き合う。
同じ距離、同じような100のポーズのなかに、立ち姿、手の重ね方、表情など、
わずかに浮かび上がってくる差異があり、その日々を滲ませる。
就活時期が<就職氷河期>に重なった自身の体験が、安森がこのシリーズを撮影するきっかけだったが、
時代を物語るキャラクターを抜けて、ひとりひとりの存在と日常を伝える抑制された肖像が生まれた。
巻末に100名へのアンケートを付す。

「安森と<同級生>一人一人とのセッションではなく、<同級生>100人のセッションによって、
各々浮かび上がってくるもの。これこそが、日々働き、生を営むなかで培われてきた
等身大の<同級生>であり、彼らの<なんでもない>輝きである。
そして、同時に、『同級生』には、<ヒュムノス>を歌う写真家が、
<ヒュムノス>を待つ写真家へと変成する様子が隠されている。
それはまた、101人目の<同級生>としての、安森自身の<なんでもない>輝きにほかならない。」 ----河野通孝(山口県立美術館副館長)「ヒュムノスとしての写真」より

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