千葉市美術館で個展「水平線を捲る」を開催したアーティストデュオ ネルホル。彼らは写真を重ねて積み上げ、それを彫ることで、本来一枚の写真からは溢れ落ちてしまう時間や記憶、さらには背景にある歴史や社会的背景を浮き上がらせていく。ネルホルが描く波立つ水面のように歪むイメージは、複雑で単一的ではないこの世界のメタファーのようだ。肖像写真、帰化植物、韓国や別府で展開されたフィールドワークからパブリックドメインの写真素材まで、被写体となるテーマや素材を拡張させながら、紙との深い関わりを軸に我々に写真の新たな可能性を提示するネルホル。彼らはどこから来て、これからどこへ向かうのか。17年間の活動の痕跡を振り返りながら、ネルホルの現在と未来を探る。