「点と線」・・・――――- 目に映る世界とそこに在った時間を、一瞬にしかし永遠に写しとどめてしまう能力と実力は、唯一写真だけのものだ。増田貴大さんの「NOZOMI」は、高速走行する列車の車窓に、いつも線として流れてゆくばかりの外景が、じつは極めてリアルで端倪すべからざる点の集合体であることを改めて見せてくれた。増田さんが写し止めたさまざまな点景は、日常という名のしたたかさの在りようを伝えてくれた。
森山大道

特殊な手法なのに、その事が気にならず、必然な視線に感じるのは移動する側から見たマナザシを素直に表しているからか。
上田義彦(写真家)

増田貴大の写真を初めて見た時に、不思議な気分にとらえられた。新幹線の窓から切り取った風景に、「現代日本」の断面図が鮮やかに写り込んでいる。それは、どこか遠い距離感がある彼岸の眺め。従来のドキュメンタリー写真の発想と手法とを大きく更新する「ニュー・ドキュメンタリー」の登場である。
飯沢耕太郎(写真評論家)

とても面白い写真です。
車窓からの風景写真としてありそうでなかった写真です。
アイデアもいいし撮影技術もすばらしい。
アイデアと技術が結びついて、予期しない出来事が眼前に立ち現われた感じがします。
遠いのか近いのか、歪んだ時空の中でこの世の現実が細部にわたって生々しい。
瀬戸正人(写真家)

新幹線の車窓風景はスピードが速すぎて沿線の人々の営みはほとんど見ることがない。ところが、増田貴大さんは一瞬で、田で働く人、散歩 する爺さんと孫、川遊び、校庭で運動する学生、などなど実に豊かに「瞬景」を捉えている。仕事で何度も繰り返し乗る、いったい何時間乗ったのか?高速 シャッター、流し撮り、写真だからこそ表現できた、一瞬の積み重ねを楽しめました。
百々俊二(写真家)