変貌する時代と空間を見つづけ、
其処に宿る生命を刻印した70年の足跡。

丹下健三や白井晟一の代表作を撮影し、建築写真家として時代を顕わしつづけてきた村井修。「世界の広場と彫刻」のシリーズにおける、空間と彫刻、そして人の深い関係性も忘れがたい。本書は、その70年の足跡の集大成であり、ヨーロッパのモダニズム建築や韓国の詩情あふれる建造物など、重要な未発表作品も併せて収載。路傍のぺんぺん草にこそ眼差しを向けつづけた写真家の、空間と生との交わりが浮かび上がる。

 

村井修(むらいおさむ)|Osamu murai
1928年愛知県半田市生まれ。現・半田高校、現・東京工芸大学卒業(元・東京写真大学専任講師歴任)。建築や彫刻を被写体とした写真家活動を始め東京で 独立。小田仁二郎氏、瀬戸内晴美(寂聴)氏らによる同人誌「Z」の表紙(写真)を担当する。新旧東京都庁舎ほか一連の丹下健三氏の建築、白井晟一氏の作品 など数多くの建物を撮影し、80年代には数年間に及ぶ京都迎賓館の撮影を手掛けた。シドニー・オペラハウス、関西空港、中部国際空港セントレア、東京駅な ど時代を代表する建物の写真を撮影・発表している。彫刻分野では、佐藤忠良氏、流政之氏、澄川喜一氏らの作品撮影。米タイムライフ社の取材にもかかわり、 雑誌『LIFE』のテーマ「家族」日本編を担当するなど活躍は国内外、多岐に及ぶ。