暁から日の出、晴れ渡った蒼穹まばゆい空に、黄昏れ、次第に暮れ行く西の空。
ときには旅人を襲う夕立の激しい雨脚や辺り一面を被う銀世界。
広重が描く道中は、ただ単に風光明媚なだけではない。
実際に自身の脚で歩き、自身の目で見、そして自身の心で感じながら旅したゆえの、旅情の実感がありありと描き出されている。
刻々とうつろう空の表情や旅人たちの一瞬のしぐさの数々は、まるでスナップショットで撮影したかのように映る。
耳を澄ませば、旅人たちの話し声が聞こえてはこないだろうか。
―解説文より抜粋―

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