人間の時間的な尺度から離れて、地球という惑星の膨大な時の流れの中で日本の風景を捉えたらどう見えるのだろう」 その問いを抱いて撮影を続ける[terra]のシリーズ。 風景のなかに分け入り、律動する風景に反応する。 網膜に引っかかるのは<場所>ではなく、<光・時間・色・造形・音・気温・匂い・風>という要素。 眺めとして捉えられる風景ではなく、情緒や既視感をそぎ落とし、変化し続ける風景を受け入れる。 時の堆積と一瞬。風景とスナップショットが激しく交わり、 歴史を穿つ風景写真が立ち上がる。

 

肉眼で見る風景の表情を、平面の写真へ「翻訳」することで、情緒や既視感はそぎ落とされ、現在の光と風景に堆積した時の痕跡が写真として浮かび上がります。私はそこに太古の時代から続く、惑星の根源的な美を観るのです。

モチーフである撮影地は、日本の観光地や誰でも登坂可能な山々が大半です。人間が新陳代謝をするように、風景を生き物のような動体として捉えると、目の前の風景が、見たままとは異なるイメージとして膨らみ、スケール感を超越して、私の目を魅了します。

作品は、その発見の衝動を押し広げるものでありたいし、鑑賞者の心を通過する時には、また別のイメージとして立ち上がるものであってほしい。そんな無形の広がりを願うのです。 ── GOTO AKI

GOTO AKI(ごとう あき)

1972年川崎市生まれ。1993年上智大学経済学部経営学科卒業。1999年東京綜合写真専門学校第二芸術学科卒業。武蔵野美術大学造形学部映像学科非常勤講師。1993年の世界一周の旅から現在まで56カ国を巡る。写真集に「LAND ESCAPES」(traviaggio publishing 2012年)、「LAND ESCAPES - FACE-」(同 2015年)、「terra」(赤々舎 2019年)がある。主な個展に「LAND × FACE」(キヤノンギャラリー 2015年)等がある。現在は日本の風景をモチーフに地球的な時間の堆積と光をテーマとした創作活動を続ける。