伝統を重んじる「旧派」の代表格とされた日本画家・池上秀畝。
彼は本当に旧派だったのか…? 生誕150年の再検証!

池上秀畝(いけがみ・しゅうほ/1874–1944、長野県生まれ)は、明治の終わりから大正、昭和にかけて日本画の旧派を代表する画家として活躍しました。
同い年で、同じ長野県出身の画家には菱田春草がおり、二人の歩んだ道は近代日本画の二つの潮流の発生から展開を象徴するものでした。
画塾で絵を学び、伝統的な主題である花鳥画を得意とした秀畝の作品は、その画風から旧派と一括りにされ、日本画を革新へと導いた横山大観や菱田春草ら新派と呼ばれる画家たちに比べ、現在光を当てられることはあまり多くありません。しかし、そんな秀畝も徹底した写生に基づく描写に、新派の画家たちが取り組んだ空気感の表現などを取り入れた、伝統に固執しない日本画表現を試みていました。

本書は、生誕150年を契機に池上秀畝を、作品や数多くの資料とともに振り返ることで、単に「旧」ではなかったその創作の一端を紐解いていきます。

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