“はるかな世界観”と“複雑性”を体感する「奈良美智論」の新たな地点

初期から近作までの作品群を軸に、長期におよぶ取材、関係者の証言とともに、豊富な貴重資料を駆使した画期的モノグラフ。ルーツとしての東北から、音楽に出会った少年期、愛知県立芸術大学、ドイツ修行時代、熱狂的支持を得た2000年代の葛藤、東日本大震災がきっかけとなった北への回帰、そして未来への想いを5章に分けて展開。奈良美智とアジアと欧米をボーダーレスに活躍する美術史家との緊密なコラボレーションにより結実。

  • 作品はじめ、旅先でとらえたスナップショット、貴重資料など、およそ400点の画像を収録
  • 「日本語版」オリジナルとして、新作9点を特別掲載

彼の芸術は、自身が深く愛する音楽と同様にいつも新鮮で、今ここに必要とされ、流動的なものだ。奈良美智の芸術は、常に前進するための新しい方法を模索し続けている。

——「はじめに」より

奈良美智(なら・よしとも)
1959年青森県弘前市生まれ。美術家。1987年愛知県立芸術大学大学院修士課程修了。1988年ドイツ、デュッセルドルフ芸術アカデミーに入学、卒業後もケルンを拠点に作品を制作。2000年に帰国、以後精力的に作品を制作し、国内外の展覧会で発表を続ける。

著者:イェワン・クーン(Yeewan Koon)
美術史家。香港大学芸術学部人文学科芸術学系准教授。ロンドン大学学士、修士。ニューヨーク大学博士。中国や日本の美術および建築を専門とするかたわら、コンテンポラリーアート分野の評論家やキュレーターとしても活動する。

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