あとがきより

境界線13
1人の女の子が、境界線は消えた と歌い、死んだ。
私にとって忘れられない境界線は引かれ、写真の中に残された"時間"と"存在"に気づくきっかけとなり、"今"を残していきたいと強く思った。

目の前に起きている喜びや悲しみ、生や死を直視できず、ファインダー越しに写した私の記憶は全て、写真で構成されていくようになっていた。
曖昧な記憶と現実を認める行為であり、息が吸える唯一の方法であったのかもしれない。

呼吸は変化し、また違うカタチとして写真へと定着していく。
この時にしか撮れなかった"今"なのだと思う。

"時間"と"存在"は静かに闇となって光り続ける。
そしてまた新たにここから始まるのだろう。