上田義彦、ガンジスに原始の記憶を辿る。

好評のMシリーズの最新刊。
山や川や海に太古からの生命の源を求めてきたこのシリーズは、ついにガンジス川を舞台に人を写し出す。
輪郭を失った光と色のうちにある、慟哭と歓喜そして無常の記憶。
写真という眼差しの記憶、遠い場所、過ぎ去った人々や時の記憶。
Mシリーズの集大成「M. Ganges」の悠久の記憶が美しく迫る。

写真に写っている誰かを見つめているのではない、
私が写した写真の中に己を見ているのだと感じるようになった。
視線の先にあるものは私の記憶、いや、遠い昔の何故か私自身のものではないと想える記憶。
――上田義彦(本文より)