2013 年~2017 年に東京と大阪の二大都市を撮影した二章だてのストリートスナップ写真集。
見慣れた街をあてどなく歩き、淡々とシャッターを切る作家の歩く速度と街との距離感が心地よく伝わり、都市やそこに生きる者を肯定するかのように、光が等しく降り注ぐ。
テキストは写真家 中藤毅彦さんが執筆。


今度こそは一度も訪れたことの無い街に出掛けてみようと地図をなぞりイメージを膨らましてはみるものの、結局は見慣れた街の中をカメラ片手にぶらぶら歩きまわり適当な時間に切り上げて帰る、という日々の繰り返しだ。
それでもいまだ飽きることなくシャッターを切り続けるのはやはり目まぐるしく変化する都市が独特の魅力を放っているからだろう。

作家テキストより


鼻崎裕介という、まだ若い写真家が今後もこうした作風で撮り続けて行くのか、或いは全く異なる方向に進んで行くのか、今はまだ未知数である。
しかし、かつてのコンポラ写真が今そうなった様に、彼の最初の写真集であるこの本はこれから10年、20年、数十年と時間を経た時に、平成の終わりというこの時代に、東京と大阪という全く異なる二大都市に漂う虚無と光をリアルに封じ込めた一冊として高く評価されるだろう。

中藤毅彦(写真家 ギャラリー•ニエプス代表)


鼻崎裕介プロフィール

1982 年 和歌山県生まれ
2007 年 東京ビジュアルアーツ写真学科卒業
2011 年 ギャラリーニエプスに参加