元田くん、俺もいま逗子だからさ、渚橋の“なぎさカフェ”でコーヒーでも飲まない? つもる話は、その時に… (森山大道・帯文から)

写真家が撮り続けた日常は、いつしか我々の人生と交わっていく。

元田敬三は路上で出会った人々に声をかけ、まるで恋するように写真を撮る写真家である。スナップとポートレート。多くはモノクロームの男気溢れる世界。そんなまっすぐな写真行為を続け写真家としての確かな評価を集めてきた。結婚し、青年期を過ぎた。人生の伴侶との確かな道のりとともに子供たちは海辺で大きく成長していた。気づけば日常にカメラを向けるようになっていた。日記のように綴られる日付入り写真の集積。しかし当たり前に過ぎていく日々には、本当に大切なことが刻まれていた……。

舞台は逗子の海辺、東京、各地のストリート。人々との邂逅、子供たちの輝き、そして母の旅立ち……。ページをめくるにつれ写真家の日記は、いつしか我々の人生と交わっていきます。365点にのぼるカラーポジによる写真と日々を綴った文で構成された、見ごたえ読みごたえのある写真集になりました。帯文は森山大道氏が執筆!

森山氏からは、本作へこんな言葉もいただいています。

「日記と日録は、しぶとく、したたかな日々の記録=写真に他ならない。」